A列車で行こう
A列車で行こう(Take the “A” train)、という曲名をご存知の方は多いのではないでしょうか?この曲の由来となっているのがNY地下鉄のA線、すなわち”A train”です。ジャズを楽しむのにマンハッタンのハーレム地区を目指す際、8番街(8th Avenue)を走るこの急行を使うと速く行けることから歌詞に出てくるとか。
そんなA列車、今ではどの車両も銀色一色ですが、年に数回だけ、ニューヨーク交通博物館のイベントで、なんと1930年代製の超ビンテージ車両が走ります!1930年代と言えば、まさにA列車で行こうの曲が出た頃です。NY訪問時にちょうどタイミングが合い、当時の雰囲気を感じるべく、この列車に乗ってきました。
乗車記
時は2023年8月の休日。乗車場所はQ線(黄色)の96th street駅です。ここで受付をして、リストバンドをもらい、列車の到着を待ちます。
来ました!全身緑色のR1-R9型です。A線-8th Aveの表示が出ています。”SPECIAL”の表示があるのは臨時列車のためですが、おそらく当時運用されていた時は該当する行先が出ていたことでしょう。このSpecialな列車が向かうのは、マンハッタンを出てブルックリンを経由し、A線でJFK空港を超えたさらに先、Far Rockawayです。Rockaway、今からいくぞ!ということで、車両には横断幕がついています。(Farの文字がつくくらい、結構遠いところにあります。ぜひSubway Mapを見てみてください -> map)
およそ100年弱も前につくられた車両が、NY地下鉄の中でも特に新しい駅に入線。いよいよ旅が始まります!
車内の様子です(終点停車中に撮影)。発車すると、この列車は蒸気機関車か?と思えるくらいのけたたましい音を立ててマンハッタンの地下を進みます。駅を通過する度に、通常の運行ではありえないレベルで警笛を連打していきます。
34丁目・ヘラルドスクエアで一時停車。乗車駅と降車駅は事前に情報が公式に出ていましたが、走行ルートは工事などでいろいろ変わることがあるようで、時々スイッチバックをしました。ミステリーではないですが、駅を通過する度に、「あれ、ここ通る…の…?」となります。
吊り革は古いスタイル。持つときは手前に引っ張りますが、離すと写真の位置に戻ります。
1930年代製ですので、もちろん冷房はついていません。かわりにあるのは扇風機のみです。あとは窓を開けて風が入ってくるのを少し期待。乗車前にうちわが配られていましたが、夏の地下の暑さをしのぐためだったんですね…
昔ながらの特徴はまだまだあります。室内灯もその一つ。
通常は上の写真のように十分明るいんですが、
ポイント通過などで一瞬、車両の集電装置が通電したレールから離れる際は、このように車内が暗くなり、一部の非常灯が点灯します。日本の例だと東京の地下鉄銀座線で過去に似た現象が見られたらしいですね。
車内には昔の広告がたくさん。こちらは今日の日本でも見るスコッチのセロテープのものです。他にもいろいろなブランドのものが掲示されていて、ついつい車内を前後に巡回したくなります。
こちらはマンハッタンの周りをボートで巡るCircle Line Cruiseの広告。今もあります。
乗車した車両の番号は1000番(キリ良い!)で、広告に混じって詳細が書かれていました。
- 契約番号(形式の番号でもある):R6
- 1935年製造、American Car and Foundry製
- 内装は1950年頃のもの
とてもマニアックな話ですが、NYの地下鉄の形式は、R***(*は数字)で表されます。新しい車両製造の契約ごとに番号が増えていくようで、2024年現在ではA線やC線などで働くR211が一番新しく、逆にR6は相当古い!ことになります。今回乗車した列車編成では、R6以外にR1からR9の形式が混じっており、R1~R9のことをまとめて通称”arnines”(アールナインズ?)と呼ぶそうです。
列車はブルックリンに入ると途中でトンネルを抜け、明るい高架部に出ます(こちらは帰路で撮影)。トンネルを出る直前には車内の大勢がカウントダウンをはじめ、”3, 2, 1, ワァ~~~~!!!!!!!”という感じで盛り上がります。運転手もノリよく警笛全開。
そうこうするうちに、終点のRockaway Park-Beach 116stに到着。天気が大変良い日で、ビーチでのピクニックにもちょうど良さそうでした。そんな空の下、停車中の車両側面にある”CITY OF NEW YORK”の文字が個人的にとてもカッコイイと思うポイントです。
ここまで書いてきましたが、まだ出したい写真の枚数が多く、紹介しきれないため、帰路を含めた続きは新しい投稿にて。
コメント
[…] 1930年代製のNY地下鉄車両に乗って旅をする記事の続きです。前回記事はこちら。 […]